■自己破産できる条件
破産法30条1項は、破産開始決定の要件として、①破産手続開始の原因が存在すること、②破産手続き費用を予納したこと、③破産手続き開始の申立てが誠実にされたものであることを定めています。
①破産手続開始の原因とは、債務者が支払不能状態にあることをいいます(15条1項)。つまり、債務者の返済能力を客観的にみて、継続的な返済が困難であると評価される状態にあることが必要になります。
返済の可能性は債務総額や資産、収入、家族構成、生活費等の事情から判断されますが、一応の目安として、債務総額が年収の3分の1を超えれば支払不能と判断されることが多いとされています。
②破産手続きでは、手続きにかかる費用を最初に納付し、その後に手続きが開始するという制度になっています。この予納金が未払いの場合、手続き費用の回収が困難となり、手続が滞る恐れがあるため、破産開始決定を受けることはできません。
③自己破産は、自身のほとんどの財産を全て清算し、これを債権者に公平に分配することによって、債務をゼロにする手続きです。そのため、破産することを念頭において金銭等を借り入れ、これを後から帳消しにするといった濫用的な破産申し立てが行われることも考えられます。そこで、破産法はこうした不誠実な申立ては認めないこととしています。
これら3つの要件を満たす場合、適切な手続きを踏めば、自己破産をすることができます。
■生活保護を受給している場合
上記の3つの要件からもわかるように、破産法は生活保護受給者による自己破産を禁止していません。そのため、生活保護を受給している人であっても、要件を満たせば自己破産を行うことができます。
むしろ、生活保護により受給した金銭を債務の返済に充てている場合、生活費以外をねん出できるだけの経済的余力があると判断されるおそれがあるため、注意が必要です。
ふくおか司法書士法人では、福岡市中央区で、債務整理、相続手続き、登記手続き等の法務相談を承っております。弁護士・税理士・社労士等の他士業とも連携し、スムーズな問題解決に努めておりますので、法務問題でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
生活保護受給者は自己破産できるか
ふくおか司法書士法人が提供する基礎知識
-
民事信託に関するご相談...
民事信託は信託法改正によって本格利用が可能になった比較的新しい制度です。商事信託のように金融機関に託す...
-
債権回収に関するご相談...
以上述べてきた通り、債権回収は、法律に関する専門的な知識が必要となり、手続き複雑です。 個人で解決す...
-
自己破産のメリットとデ...
自己破産は、裁判所に申立てを行い、すべての債務を免責して貰うための手続きとなります。免責を受けると、借...
-
家族信託とは?手続きの...
■家族信託とは 家族信託とは、本人が自分で財産の管理ができなくなった時のために、自身の財産管理をできる...
-
持ち家を守りたい方の債...
債務整理をしながらも、持ち家を手元に残したいという場合には、個人再生が最も適した方法となります。そもそ...
-
個人再生の流れ
個人再生は、裁判所を介することで債務の大幅な圧縮を目指す債務整理の方法になりますので、まずは裁判所へ申...
-
非免責債権
自己破産の申立てが認められ、免責を得られると、実質的に借金が帳消しとなります。 しかし、一部の債権には...
-
遺産分割協議に必要な書類
■遺産分割協議に必要な書類 遺産分割協議書を作成する際には、遺産分割協議書の作成の過程で必要になる書類...
-
個人再生のメリットとデ...
個人再生は、裁判所を介して、すべての債務のうち一部を返済免除として貰い、残った債務を原則3年間で返済す...