売掛金が期日通りに支払われない、賃金の未払いがあるなど、債権に関わるトラブルがあります。
高額な債権回収は弁護士の範囲ですが、140万円以下の債権回収は司法書士も対応可能です。
この記事では、債権回収における司法書士の対応範囲について解説します。
債権回収とは
債権回収とは、支払い期日までに支払われなかった代金の支払いを求め、応じない場合には財産の差し押さえなどを行い、金銭を回収する行為です。
通常、すぐに法的手段をとるわけではなく、まずは催告書を送付して支払いを促します。
催告書とは、「債務を履行しない場合には法的措置をとる」とする旨を相手に通知するものです。
催告書を送付しても支払いに応じない場合には、裁判所による支払督促手続きを行います。
督促にも応じない場合、財産の差し押さえや、裁判によって解決を目指します。
債権者本人以外で債権回収を行えるのは次の三者です。
- 国に認可された債権回収業者
- 認定司法書士
- 弁護士
司法書士が債権回収で出来ること
債権回収において司法書士に出来ることは主に次の通りです。
- 内容証明郵便の送付
- 支払督促手続き
- 強制執行手続き
- 少額訴訟
- 少額訴訟による債権執行手続き
- 140万円以下の訴訟
内容証明郵便の送付
内容証明郵便により催告書を送付します。
催告書を送付することで、電話やメールなどで支払いを求めるよりも、支払いに応じてもらえる可能性が高くなります。
内容証明郵便とは、以下の項目が公的に証明される郵便です。
- 文書の内容
- 差出人
- 宛先
- 差し出し年月日
これにより、相手方に支払いを求める文書を送った事実が証明され、「言った」「言わない」の争いを避けられます。
裁判に発展した場合には証拠として利用可能です。
支払督促手続き
催告書を送付しても対応してもらえなかった場合、支払督促手続きを行います。
簡易裁判所へ支払督促の申し立てを行うことで、簡易裁判所から相手方へ督促状が送付されます。
支払督促により金銭を支払ってもらえれば解決です。
しかし債務者がこれを不服とする時、異議を申し立てられる可能性があります。
その場合は訴訟に移ります。
また、債務者が異議申し立てを行わず、支払いにも応じない場合には、相手の財産を差し押さえる権利を得られます。
強制執行手続き
相手の財産を差し押さえる手続きが、強制執行手続きです。
強制執行には次の3つの種類があります。
- 債権執行
- 動産執行
- 不動産執行
債権執行は、給与などの「利益を受け取る権利」を差し押さえるものです。
動産執行は現金を回収したり、貴金属などを強制的に売却したりして行う債権回収です。
不動産執行は不動産を差し押さえ、換金するものです。
強制執行を行うためには裁判所に書面を提出し、強制執行の申し立てを行う必要があります。
司法書士は提出する書面の作成を行えます。
少額訴訟
少額訴訟は60万円以下の支払いを求める際に利用できる訴訟です。
原則として1日で審理が終わる簡単な裁判です。
司法書士は、裁判所へ提出する訴状の作成を行えます。
また法務大臣の認定を受けた司法書士であれば、簡易裁判所で行われる裁判の代理人になることが可能です。
弁護士同様、すべての手続きを任せられます。
少額訴訟による債権執行手続き
少額訴訟に勝訴すると、強制執行の根拠となる書面を得られます。
強制執行の根拠となる書面とは、具体的に以下の通りです。
- 少額訴訟における確定判決
- 仮執行宣言を付した少額訴訟判決
- 少額訴訟における訴訟費用額確定処分
- 少額訴訟における和解調書,認諾調書
- 少額訴訟における和解に代わる決定
司法書士はこれに基づいた強制執行の申し立てを行えます。
申し立てを行う事で、裁判所が差し押さえを行います。
140万円以下の訴訟
請求金額が60万円を超える場合であっても、140万円以下であれば司法書士が裁判の代理人を務められます。
ただし司法書士が代理人を務められるのは、簡易裁判所で行われる裁判のみです。
たとえ140万円以下の訴訟であっても、問題が複雑化した場合や控訴した場合など事件が地方裁判所へ移送されてしまうと、司法書士では対応できません。
司法書士に債権回収を依頼することが望ましいケース
たとえば少額訴訟は、費用対効果を考えると弁護士などへの依頼をためらってしまうものです。
少額訴訟は簡単な裁判であり、個人でも十分対応できるからです。
しかし訴状の作成は簡単ではありません。
請求の趣旨や原因を過不足なく記載できなければ、満足のいく結果を得られない可能性もあります。
書面の作成は専門家に任せると安心です。
司法書士であれば、訴状など書面の作成のみを依頼する事も可能です。
まとめ
この記事では、債権回収において司法書士が対応可能な範囲を解説しました。
司法書士は法的な書類作成の専門家であり、相手方への内容証明郵便の送付や、支払督促手続きが可能です。
認定司法書士であれば、140万円以下の訴訟に限り、裁判の代理人を務めることも出来ます。
少額な債権回収をお考えの時には、司法書士へご相談ください。